精神科は、心の病を治す診療科目です。精神科で働く医師の仕事内容は、患者と向き合って心を通じ合わせるカウンセリングが主体になっています。
心の病は骨折や腫瘍のように形のある疾患ではないため、医師は患者の言動をよく観察しながら、慎重に治療の方向性を決めなければいけません。カウンセリングは患者の状態を正しく認識するための手段であり、患者に信頼されるためのプロセスとしての側面もあります。
心の病を治すには、患者自身が心を開き、医師を信頼することが重要な条件です。そのため、医師は患者に対して真摯に接する姿勢を持つことが求められます。また、似たような症状でも患者ごとに最適な治療の方法が異なるのも精神科ならではの特徴と言えるでしょう。
豊富な知識と柔軟な思考力が、精神科で働く医師の必須スキルです。
職業選択の面から見て、精神科の医師を目指すのはやりがいがある一方、決して容易ではありません。医療の中でも精神科は明確な結果が出にくいうえ、患者ひとりに費やす治療が長期化しやすい傾向があるためです。
心の病ははっきりと完治したことを示す明確な目印が無いうえ、些細なきっかけで再発することも珍しくありません。根気強く治療を続けても良い結果を得られないことがありますが、それだけに患者に対して親身になって接する労わりの気持ちと医師としての毅然とした態度が必要になります。
また、心の病の定義や治療方法は研究途上の状態なので、常に新しい知識を学んで治療に臨む姿勢も重要です。